2020年の春に同一労働同一賃金が施行されたことは、ご存知でしょうか。
テレビのニュースでもあまり話題にはなっていませんでしたが、働き方改革というのは徐々に進み始めています。
同一労働同一賃金が2020年時点で有効なのは、いわゆる大企業のみです。
しかし、2021年には中小企業もルールを遵守する必要が生まれるので、決して他人ごとではありません。
まだあまり実感がわかない人のために、ここでは同一労働同一賃金について説明していきましょう。
同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金とは、簡単にいってしまえば「同じ仕事内容の人には同じ待遇をしなければならない」という決まりです。
現在、日本で問題になっているのが、雇用格差です。
同じ仕事内容なのに雇用や性別、国籍によって、給料や福利厚生に格差が生まれているという点が問題視されています。
中には、契約社員やアルバイトは社員食堂を使ってはいけないしエレベーターも使用禁止という扱いの会社もあったようです。
そんな格差をなくすための施策が、同一労働同一賃金なのです。
破った場合のペナルティについて
そんな同一労働同一賃金ですが、実は今のところ罰則が存在しません。
厚生労働省から働き方改革の一貫ということでお達しは出ていますが、厚生労働省ホームページにも、決まりを破った際に発生するペナルティが明記されていません。
従って、現在のところ破っても法律違反には当たらないとされています。
しかし、これはあくまで2020年12月現在のものであり、本格的に同一労働同一賃金が始まるのは、中小企業も施工対象に含まれる2021年春です。
そのため、2021年頃には、本格的に罰則が設けられる可能性があります。
また、近年ではネットによって法律に関する知識の共有もしやすくなっているので、企業側に法律違反の疑いがあると、それをもとに訴訟に発展する恐れもあります。
現在の人事に関する報酬や評価の精度をもう一度見直し、改善する必要があるでしょう。
「同一労働」の基準
同一労働同一賃金で多くの人が悩むのは「どこからどこまでが同一労働」なんだろう」ということでしょう。
例えば、スーパーで正社員とアルバイトがレジ打ちの仕事をしていたら、アルバイトも正社員と同じ給料や福利厚生を用意しなければならないのでしょうか。
結論からいえば、その必要はないです。
同一労働というのは、現在の労働以外に将来性も含まれているからです。
たとえば、正社員には今はレジ打ちをしてもらっているけど、将来的には他の職種を体験してもらうし、転勤もしてもらうかもしれません。
その場合、同一労働には当てはまらないので、賃金も同一にしなくて大丈夫です。
このように、同一労働同一賃金は、様々な観点から判定されるものなので、必ずしも全員の待遇を変えなければならないというわけではありません。
専門家に相談を
上でも紹介したように、同一労働同一賃金には細かいルールが設けられているので、何がどう正しいのかわかりにくいという人もいるでしょう。
そんなときは、ネットで調べるよりも専門家に相談したほうが確実です。
会社で雇っている顧問弁護士に相談すれば、会社の状態に合わせて適切な対策を提示してくれますし、厚生労働省が無料窓口も開設しています。
また、法律関係で同一労働同一賃金に対してのアドバイスを行っている事務所もあるので、困ったときは専門家に相談することをおすすめします。
2021年の春までにルールを見直し、リスクの少ない会社運用を心がけましょう。