同一労働同一賃金の実施により、働き方改革は徐々に進んでいるといえます。
しかし、それでもまだ浸透しきっているわけではなく、格差による訴訟問題は度々発生します。
ここでは、正社員と同じように仕事をしていた契約社員と元契約社員が、正社員との待遇に不満を持ち、「同一労働同一賃金」を求めた裁判に持ち込んだケースをご紹介させていただきます。
契約社員でも退職金を
地下鉄を運営している東京メトロ(東京地下鉄株式会社)の子会社、地下鉄駅の売店などを運営している株式会社メトロコマースの契約社員、元契約社員が起こした裁判。
退職金を契約社員には支払わなかった、というケースですが、これは当時全国初の判断でした。
この判例は、契約社員の勤務期間が「10年前後」と長かったのもあり、功労報償…企業に生涯を捧げた、社員の功労に対する報いに該当するか、ということを退職金の支給・不支給の判断基準として考えたのです。
結果的に、原告4人のうち2人には、「退職金が一切ないのは不合理」という判断がでました。
ただ、残念なことに、退職金の割合は正社員の「少なくとも25%」とされました。
これはつまり、契約社員への退職金は、正社員よりもずっと少なくてもいいよ、という判決でもあったのです。
正社員の格差は違法としつつ、金額は少なくてもいい…というのは正直「同一労働同一賃金」という考え方では納得いかないでしょうが、正社員とは配置転換の有り無しなどといった労働条件が異なる、として格差は容認したとのことです。
確かに配置転換などはないですが、仕事の内容は同じなので、「同一労働同一賃金」といった点では、妥当な判断だったのではないでしょうか。
「同一労働同一賃金」といった、働く側にとって当たり前であってほしい正社員と契約社員の差が、もっと縮まるといいですね。